企業様事例「学生の声を活用したグループ支援」

企業様事例

企業様事例:グループ採用支援に学生の声を

東急株式会社様

2022年11月、東急グループの新卒採用担当者研修が行われた。東急グループのグループ採用支援企画として企画されたグループ各社約20社の新卒採用担当者向けの研修セミナーで、今年はSTUDENT REVIEWを活用した企画を展開。

グループ企業の1社の説明会録画を事前に学生に見てもらい、研修当日は23卒24卒の学生が1名ずつ登壇。説明会動画を見た上で忌憚ない率直な感想や改善ポイント、また就活中に企業をどのように見ているのかが語られた。

本インタビュー記事では研修の中で学生の本音に触れた感想を踏まえ、学生との採用コミュニケーション課題について東急株式会社様、そして株式会社東急パワーサプライ様にお話を伺った。
(取材・執筆:羽田啓一郎)*本記事は2022年11月時点の取材をもとにしています

グループ採用支援として実施した背景と感触

まずは東急株式会社でグループ採用支援に取り組むご担当者様にお話を伺った。

ー改めて先日はありがとうございました。グループ支援の研修で学生を登壇させた背景を教えてください。

こちらこそありがとうございました。当社では採用に関する学びの場として、グループ各社の採用担当者向けの研修をこれまでも毎年行なっていました。

ただ、グループ内で業種も採用担当者の年次もバラバラで足並みが揃わないことが課題でした。結局、学生とのコミュニケーションの取り方など最大公約数的な企画をこれまでは行なっていたのですが、それではどうも本質的な問いにならないなと感じていたのです。

ー確かに東急グループ様は業種もさまざまで参加者皆様に対応するテーマ設定は難しそうですね。

学生さんに自社の魅力を伝え、志望度を高めていくためにはどうすればいいのか?改めて考えてみると、学生の声を聞いたことがある人はいなかったんです。内定者に聞くことはできますが、内定者は最終的に自社を選んでくれた学生ですし客観的な意見にはならない。自社と関係ない学生から聞く話の方が本音が聞けるし、これからの参考になるのではないか、と考えて企画したのがSTUDENT REVIEWの学生さんに登壇いただいた背景です。

ー参加された各社様の声はいかがでしたか?

耳が痛いという声が多かったですね(笑)。企業としては良かれと思って紹介していたことが、実は学生にはほとんど興味がないポイントだったなど、企業と学生の認識の相違が浮き彫りになった感覚がありました。学生の声を聞く機会はなかなかない、と各社からも好評でした。

ーありがとうございます。各社様さまざまだと思いますが、どのような採用課題が多いと感じられますか?

よく聞くのはインターンやイベントから本選考まで志望度をどう維持してもらうか、ですね。もしくは内々定を出した後、学生さんをどう繋ぎ止めておくか。オンライン時代になってからその課題感は強くなっていると感じます。

ーそれはなぜでしょうか?

直接会って学生さんとの距離感を縮め、学生に安心感と親近感を感じてもらうことが我々は得意だったんでしょうね。ただオンラインになってからはそれが難しくなりました。おそらく同じように感じている企業様は多いのではないでしょうか。またBtoB企業を知ってもらうきっかけも減っていますね。対面時代はグループイベントもブースが隣にあったことで偶然の出会いがありましたが、オンラインではそれらが分断されてしまいました。知名度のない会社は集客するのに苦戦してしまいます。

ー企業も学生も、オンラインだと自分のことを伝えづらいですよね。だからこそコンテンツ自体の精度が重要になってきています。

そうですね、今回2名の学生のフィードバックを受けて学生が求めているものの解像度が上がったと感じています。これを次に活かしていきたいですね。

学生の声を聞いて採用活動に活かす

学生レビューをグループ説明会に取り入れた東急パワーサプライ様

学生がレビューする説明会動画を提供くださった東急パワーサプライの採用チームの皆様にもお話を伺った。東急パワーサプライ様は人事部以外に、別部署に属する若手社員も採用プロジェクトチームにアサインされ関わっているのが特徴だ。

ー今回、御社の説明会動画を学生が視聴していろいろとコメントをしてもらいましたが、率直な感想を教えてください。

やはり最初は怖かったですね(笑)。でも学生さんの声を聞く機会は滅多にないので貴重でしたし、私たちが伝えたい情報と学生さんが知りたい情報が違うということがよくわかりました。そこがマッチしきれていないと自社の魅力が伝わりきらずにもったいないなと感じましたね。

ー特に驚いたことなどはありましたか?

いろいろありますが、特に驚いたのがSDGsと福利厚生についてですね。私たちとしてはSDGsや福利厚生制度は就活生にとって非常に大きな関心ごとだと思って取り上げていました。しかし実際にはそこまで関心が高くないということがわかり驚きましたね。

ーSDGsは学生が関心があると企業様が誤解しておられるケースは多いですね。だから各社もSDGsについて説明し、それを聞いた学生が企業はSDGsなんだ!と思って面接でSDGsのことを話す。それを聞いた企業様は「学生はSDGsへの関心が高いのだ」と思ってしまう・・・、というループが起きています。ちなみに、今回の説明会でお話しされた内容はどのようなプロセスで検討されたのでしょうか?

弊社の広報部が作成しているファクトブックを元に、若手の採用プロジェクトチームで検討して作成しています。ただ、「きっとこれは学生は関心があるのでは」という推測で検討してしまっていました。若手社員なので今の学生さんと感覚は近いと思っていましたが・・・。なかなか難しいですね。

ーコロナによって学生の生活習慣や価値観も大きく変わってしまいましたからね。今回は比較的キャリア意欲の高い学生2名だったので福利厚生より自分が入社した後にどのような仕事をするのか、そしてどのようにキャリアが作られているのかを知りたかったのかもしれません。

そうですね、今回お話を聞いた学生さん2名は入社後の仕事のイメージを具体的に持ちたいのだな、と感じましたね。時期にもよるかもしれませんが、学生さんが志望動機として話せるようになるポイントを意識して伝えていくのがいいのかなと感じましたね。

ー今、時期のお話がありましたが年間通して採用スケジュールの中で最も課題感を感じている点はどの時期ですか?

やはり選考過程ですね。私たちは東急グループ各社が集まるグループ採用イベントに出展しているので、ありがたいことに母集団形成はうまくいっていると感じています。ただ、そこから入社意欲を持たせるのが大変。選考途中でいかに繋ぎ止めておくかが課題です。

ーやはりそこですよね。内定辞退を防ぐための内定者フォローに力を入れられている企業様もいらっしゃいますが、個人的な感覚では内定出しのタイミングでは学生の志望順位はある程度固定化されており、内定者フォローによって学生の意志が大きく変わることはないのではないかな、と感じています。そうなると大切なのはやはり動機づけのプロセスですね。

動機づけや興味喚起でよくある採用手法でSNSの活用がありますが、今回の学生さんのお話を聞く限りでは学生さんは企業の採用アカウントをフォローすることはあまりなさそうですよね。他にもオンラインが主流となった今、動画コンテンツも採用で使えるのではと考えたりもします。ただ、どのように動画を作っていくべきか、悩ましいところです。動画制作は予算もかかりますし・・・。

ーSNS、動画、など手法に関心が集まりがちですが、私から言わせていただくと本質的なことは手法の話ではなく、その企業様の魅力をいかに学生に伝わるように言語化していくか、だと考えています。手法ではなく本質、というのは就活生も一緒だと思いますが、学生も企業もお互い寄り添いたいのにすれ違ってしまっているのが現状です。弊社としては、学生と企業双方にコミュニケーションをとりながらよりよい関係性を作っていきたいと考えています。この度はいろいろとご協力いただき、ありがとうございました!

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